OHIO → OSAKA
結局、自分が探していたギターはアメリカのオハイオ州にある楽器屋が出品していた。この円安の時代に自分は一体何をしているのだろうかという気持ちが少しはあっても良いはずなのに、買うと決めたら迷いはなかった。ただ、心配事は、現物を自分の手で確認できないこと、そして無事に輸送されるのか?という点にあった。

そういった懸念点をクリアにするために大切なのは、やはりコミュニケーションだ。このご時世、英語ができなくても心配はいらない。ChatGptに任せればこちらの言い分も、向こうの返答も綺麗に訳してくれる。そうやって、何通かメッセージのやり取りをした上で、さらには値下げ交渉までして、購入に至ったのだった。(実際、値下げにも対応してくれた!)「輸送中にネックが折れた」なんてことにならないように、梱包も厳重にして欲しいと依頼し、祈る気持ちで到着を待ったのだった。
購入手続きが完了し、まもなく発送作業に入ったことがわかった。きっちりしている!これは信頼できると思った。翌々日には発送されたとの知らせが入り、4日後くらいに我が家に届いた。

「気をつけろ!こっちが上だ!」と書かれた丈夫なギター用の段ボールで包まれ、中にはぎっしりとスチロール性の梱包材が詰め込まれていた。パーフェクトだ。よく考えると、オハイオってアメリカのどのへんだっけ。オハイオといえば、オハイオプレイヤーズしか思いつかない。そんな縁もゆかりもないアメリカの地にあったこのギターを僕は買い、向こうからすればよくわからない心配性の日本人(なのに値切ってきた奴)のために、丁寧に梱包して送ってくれたのだ。音楽というものがなければ出会うはずもない者同士が、ChatGptを介して会話をし、見ず知らずの相手を想像し、コネクトする。それは、音楽を通じて僕が誰かと繋がっているのと同じことなのかもしれない。相手の顔が見えなくても、真心を込めて届けるならば、きっとそれはそこに存在するだろうし、届く人には届くだろう。僕はそう信じている。
しかしこのギターも、まさか60年以上経って、日本に来るとは思ってもいなかっただろうな。(笑)日本の夏は蒸し暑いよ!